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2009年6月26日 河北新報 【記事全文】

「公務災害」逆転認定  石巻教諭自殺 遺族の審査請求実る

 石巻市貞山小の教諭だった高野啓さん=当時(38)=が自殺したのは職務に原因があるとして、妻の由美さん(48)が公務災害の認定を求めていた問題で、地方公務員災害補償基金県支部審査会は25日までに、「公務外の災害」とした県支部の認定を取り消す裁決をした。審査会の裁決は拘束力があるため、高野さんの公務災害が認められる。
 高野さんは2000年4月に貞山小に異動。6年生の担任を受け持ちながら、総合学習の導入に向けて授業内容などを検討する研究主任を務めており、同年6月11日に自殺した。
 審査会は、高野さんは職務内容の変化や長時間勤務でストレスをため、同年5月上旬にうつ病を発症して自殺に至ったと判断。「公務に起因した自殺と認めるべきだ」と指摘した。
 由美さんは03年10月、公務災害認定を県支部に請求。県支部は08年4月、「労働量は通常の範囲内で、うつ病発症と職務の因果関係も不明」と、公務外災害と結論付けた。由美さんは08年6月、審査会に審査請求していた。

2009年6月26日河北新報


2009年6月28日 河北新報 【記事全文】

石巻・教諭自殺 「教育現場の環境改善を」 逆転裁決で遺族

 石巻市貞山小の教諭だった高野啓さん=当時(38)=の自殺をめぐり、公務外災害とした地方公務員災害補償基金県支部(支部長・村井嘉浩知事)の認定を同支部審査会が取り消す裁決をしたことで、妻の由美さん(48)が27日、仙台市内で記者会見した。「夜遅くまで働いていた夫が報われた。仕事のストレスによる自殺者が出ないよう教育現場の環境改善を進めてほしい」と訴えた。
  由美さんは「9年も待ち続けた。もっと早く認めてほしかった」と県支部を批判。「仕事のストレスで自殺した人はほかにもいる。労働状況を把握してから認定してほしい」と要望した。
  裁決書が届いた23日、長男(18)が「お疲れさま」と声を掛けてくれたという。「子どもは夫が一生懸命働いていたことを分かっていた。
自殺で傷ついた子どものためにも引き下がれなかった」と胸の内を明かした。
  代理人の杉山茂雅弁護士は「忙しい教育現場の実態を反映した裁決で、働き過ぎに警鐘を鳴らす第一歩」と強調した。
  裁決によると、高野さんは職務内容の変化や長時間勤務でストレスがたまり、2000年5月上旬にうつ病を発症。6月11日に自殺した。

2009年6月28日 河北新報

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