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2010年4月16日 河北新報 【記事全文】

長時間労働でうつ病、自殺
運転手の労災 逆転認定  宮城労働局保険審査官

 長時間労働でうつ病になり、自殺した塩釜市のトラック運転手早坂勇希さん=当時(41)=の遺族が申し立てた労災の審査請求で、宮城労働局の宮城労災補償保険審査官は15日までに、自殺と長時間労働の関連を否定した仙台労働基準監督署の決定を取り消し、労災と認定した。
 遺族の代理人や決定によると、宮城県大衡村の運送会社に勤務していた2008年7~8月、運行エリアが富山県まで拡大したり、新たに福島県内のスーパーの商品搬入を請け負ったりして業務が増え、長時間労働が恒常化した。08年8月には不眠に加え食欲もなくなり、体重が71キロから64キロに落ちた。体調が回復しないまま仕事を続け、08年9月9日午前5時ごろ、会社の仙台市内の営業所駐車場で自殺した。
 審査官は自殺の原因を「拘束が月300時間を超え、過労でうつ病になったため」と判断。搬入先で倉庫が開くまで待機する時間などを労務と見なさなかった仙台労基署の決定は認められないとした。
 早坂さんの遺族は08年11月に労災を申請したが、仙台労基署に退けられ、09年7月に審査請求していた。
 決定を受けて記者会見した早坂さんの妻百合江さんは「夫の無念を晴らすことができた。会社は何もしてくれず、こんなつらい体験はもうしたくない」と語った。

河北新報新聞記事

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