第24号(2010年1月10日発行) ※PDF版はこちら
働くもののいのちと健康を守る運動は
日本国憲法の生存権、基本的人権を守る闘いそのものです
人間を大事にしない政治に未来はありません
今年もみなさんと一緒に頑張りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます
2010年元旦
会長 真壁完一
副会長 伊藤貞夫(宮商連) 斎藤重美(宮教組)
事務局 富樫昌良、松浦誠(民医連)、中山修(民医労)、八島正司(県労連)
第4回幹事会について
事務局長の体調不良によっていの健幹事会を延期していましたが、下記の日程で開催させていただきます。当初予定した日は全国センターの会議が入ったうえ、会場の都合等もあり、以下のように再度変更をお願いしなければなりません。
いろいろご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
日時 1月27日(水)18時30分~
会場 県労連2F会議室
議題 1)地方センター交流集会(秋保)の参加体制について
2)2010年度いの健総会の日程及び持ち方について
3)第6回東北セミナーについて
4)その他
新年早々から大変嬉しいお知らせです。
08年5月26日に初めて相談を受け、直ちに幹事会において検討し、支援を決定した「斎藤和彦さんの突然死(過労死)事案」について、12月25日に「今日、労基署から労災として認定したとの電話がありました」とのご報告をいただきました。
08年7月12日の労災問題交流会でも詳細な報告をしてもらいましたが、被災者は写真台紙制作、記念アルバムの企画制作等を行う会社に勤務し、主として福島、新潟を含む関東一円の営業活動(車を運転して)に従事していましたが、07年3月22日、宿泊先ホテルで倒れ、上腸間膜動脈乖離のため、45歳で急死したものです。
エリアの広さと顧客数の多さから、1ヶ月に20日間も県外出張を余儀なくされていたうえ、移動と営業のため昼休みもまともに取れず、コンビニでおにぎりを買って、車を運転しながら食べるという毎日でした。
直前1ヶ月の112時間を始め、毎月100時間前後の時間外勤務を行い、同僚や上司との連日のメールからも、相当の疲労が蓄積していたことが明らかになっていました。
問題は、いわゆる「脳心疾患」ではなく極めて希有な症例だったために、認定を得る上での困難が予想されたことです。
当初「弁護士の先生からも99%難しいだろうと言われたが、何とか認定させる方法はないのでしょうか」と相談を受け、坂病院の舩山広幸医師や東京の過労死・自死相談センターの上畑鉄之丞医師などの意見を求め、あくまでも脳心疾患と同基準で認定するよう求めて取り組むことを確認し、奥さんにも「最後まで支援して闘う」ことをお伝えしました。
何回か奥さんと会って意見交換もしましたが、結局は奥さん自身が営業相手の会社を調べ上げたり、膨大な労働量を具体的に明らかにしたり(錦町診療所の金田さんの協力)、主治医の意見書を書いてもらったりしたがんばりが、労基署段階での認定を勝ち取る力になったことは明らかです。
1月14日(木)に、奥さんとお父さんと一緒に労基署に行き説明を聞いてきましたが、「長期間にわたる過重労働の事実」と「医師の意見書」が認定の決め手になったとのことでした。
その意味でも奥さんの奮闘に心からの敬意を表すると共に、過去に例のない発症事例を労災として認定させたことの意義を大事にする必要を痛感したところです。
今後、会社への損害賠償を求めることになれば、引き続き支援をしたいと考えています。
なお、奥さんのお父さんからも「センターに結集するみなさんのご支援に深く感謝します。
みなさんによろしくお伝え下さい」とのご挨拶をいただきましたし、奥さんからは「いの健センターの活動にお役立ていただければ幸いです」と、3万円のカンパをいただきましたことを、併せて報告いたします。
相談件数激増、内容も深刻化!昨年1年間の相談活動のまとめ
№ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 累計 | |
1 | 新規相談件数 | 9 | 21 | 24 | 13 | 11 | 14 | 8 | 7 | 8 | 5 | 8 | 6 | 134 |
2 | 継続相談件数 | 5 | 3 | 8 | 8 | 8 | 7 | 11 | 9 | 6 | 6 | 4 | 4 | 75 |
3 | 男性 | 4 | 12 | 11 | 2 | 6 | 5 | 3 | 5 | 4 | 2 | 5 | 3 | 59 |
4 | 女性 | 5 | 9 | 13 | 11 | 5 | 9 | 5 | 2 | 4 | 3 | 3 | 3 | 69 |
5 | 不明 | |||||||||||||
【小計】 | 9 | 21 | 24 | 13 | 11 | 14 | 8 | 7 | 8 | 5 | 8 | 6 | 134 | |
6 | ~20代 | 1 | 5 | 5 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 3 | 2 | 19 | ||
7 | 30代 | 2 | 4 | 10 | 9 | 4 | 5 | 4 | 2 | 2 | 3 | 1 | 2 | 46 |
8 | 40代 | 3 | 7 | 3 | 2 | 5 | 4 | 2 | 1 | 2 | 2 | 1 | 1 | 32 |
9 | 50代 | 3 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 3 | 2 | 1 | 18 | ||
10 | 60代~ | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 6 | |||||||
11 | 不明 | 2 | 3 | 1 | 1 | 7 | ||||||||
【小計】 | 9 | 21 | 24 | 13 | 11 | 14 | 8 | 7 | 8 | 5 | 8 | 6 | 134 | |
12 | 正社員 | 2 | 3 | 5 | 8 | 5 | 7 | 6 | 3 | 4 | 3 | 4 | 3 | 53 |
13 | パート・契約・アルバイト | 1 | 4 | 1 | 2 | 2 | 4 | 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | 2 | 27 |
14 | 臨時・嘱託 | 3 | 6 | 1 | 1 | 11 | ||||||||
15 | 派遣・請負 | 2 | 9 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 20 | |||||
16 | その他 | 4 | 1 | 7 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 17 | ||||
17 | 不明 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 6 | |||||||
【小計】 | 9 | 21 | 24 | 13 | 11 | 14 | 8 | 7 | 8 | 5 | 8 | 6 | 134 | |
24 | 解雇 | 2 | 12 | 4 | 5 | 5 | 6 | 5 | 5 | 1 | 1 | 2 | 48 | |
25 | 退職の強要・勧奨 | 4 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 10 | ||||||
26 | 賃金・残業等未払 | 5 | 5 | 4 | 1 | 1 | 2 | 1 | 19 | |||||
27 | 労働契約違反 | 2 | 1 | 3 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 15 | |||
28 | 社会・雇用保険 | 1 | 2 | 1 | 1 | 2 | 2 | 9 | ||||||
29 | 配転・出向・転籍 | 1 | 1 | 2 | ||||||||||
30 | 労働条件切り下げ | 1 | 1 | 2 | 4 | |||||||||
31 | 労働時間・休暇 | 1 | 3 | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 | 12 | |||||
32 | セクハラ・いじめ | 5 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 2 | 1 | 3 | 2 | 5 | 38 | |
33 | 倒産・工場移転 | 1 | 1 | 1 | 3 | |||||||||
34 | 労災・職業病 | 5 | 4 | 2 | 7 | 2 | 4 | 2 | 3 | 5 | 3 | 3 | 4 | 44 |
35 | 組合結成・加入 | |||||||||||||
36 | その他 | 2 | 3 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 3 | 16 | |||
37 | 不明 | 1 | 1 | |||||||||||
【小計】 | 13 | 41 | 24 | 18 | 12 | 31 | 13 | 15 | 11 | 16 | 15 | 12 | 221 |
08年の年末からの派遣切りなどで、相談数も増加しましたし、その内容も一段と深刻なものが目立っています。
07年は相談数が101件(継続相談を含めると129件)でしたが、08年は144件(186件)となり、そして09年は134件(209件)となっています。
いの健センターとして受けた新規の相談件数は若干減ってはいるものの、継続相談が大きく増えたということが内容の深刻さの反映と言えます。
さらに、県労連も含めた全体の相談件数は昨年に比べても激増しています。
主としていの健センターが相談を受けている労災・職業病事案やいじめ・パワハラ事案が激増していることも、昨今の労働環境の劣悪化を物語るものと言えます。
非正規労働者、しかも若い世代の相談が増えています。
その方々の多くが心を病んでいることが日本社会のゆがみを表しています。
今年こそ、労働者派遣法の抜本改正などを実現し、安心して働くことのできる環境を作り上げるために、いっそうの奮闘をし合いたいものです。
高野事案ご遺族から「いの健の活動基金へ」と多額のご寄付をいただきました。
故高野啓先生の過労自死が昨年6月に公務災害として認定され、10月に報告集会と支援団体の解散総会が行われましたが、このたびご遺族の由美さん(啓さんの奥さん)から弁護団を通じて、「9年間にわたり“いの健センター”の皆様には大変お世話になりました。
今後のセンターの活動にお役立ていただければ嬉しいです」と、20万円をご寄付いただきました。
ありがたく頂戴し、宮城いの健センターの基金として大切に活用させていただきます。
ありがとうございました。
改めて啓さんのご冥福をお祈りするとともに、ご遺族のお気持ちを汲み、引き続き「過労死・過労自死」をなくすための活動に全力で取り組みたいと思います。
アスベスト患者会代表の上原長吉さんがご逝去いたしました
謹んでご冥福をお祈り申し上げます
自らがアスベストに冒され、大変な闘病生活を送りながら、患者会代表として、あるいはアスベスト問題対策宮城県センターの事務局として、アスベスト患者の掘り起こしと労災認定闘争の支援、アスベスト被災をこれ以上出さないための行政への要請行動など、さまざまな活動の先頭に立って頑張ってきた上原長吉さんが年明け早々にお亡くなりになりました。
個人のご遺志で、葬儀等が終わった後で知ったために、ご遺族へのお悔やみも申し上げないままになっていますが、改めて関係団体と相談し故人を偲ぶ機会を設けることができればと思います。
生前の明るく献身的なお姿が目に浮かびますが、本当に残念でたまりません。
改めてアスベスト被害の深刻さに怒りを覚えますし、上原さんのご遺志に報い全てのアスベスト患者への保障が徹底されるとともに、これ以上のアスベスト被害を拡大させないために、いの健センターとしても全力で運動に関わっていきたいと思います。
働くもののいのちと健康を守る宮城県センターとして、上原さんのご逝去に心からの哀悼の意を表したいと思います。
上原長吉さんのご冥福をお祈り申し上げます。