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□ いの健ニュース


第21号(2009年11月11日発行) ※PDF版はこちら

赤坂事案、原告の証人尋問  改めて働かされ過ぎが明らかに

「被告側は労災認定を無視するの?」

7月29日(水)付で労働保険審査会から、赤坂貴志さんの自死事案について「仙台労働基準監督署長が平成20年1月11日付で請求人に対してした労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による遺族補償給付金及び葬祭料を支給しない旨の処分は、これを取り消す」という逆転裁決が下され、労災として認定されたことはすでにご報告の通りです。
現在、貴志さんの元請け会社(羽田タートル株式会社)と、派遣先(佐川急便)を相手取り、損害賠償を求める裁判を行っていますが、10月15日(木)に原告本人(母親、優子さん)の証人尋問が開催されました。

以下に、当日傍聴した金田基さん(民医連/錦町診療所)の報告要旨を紹介します。
1)原告側代理人(北見弁護士)による尋問
◎亡くなられた貴志さんについて
・性格は⇒ 責任感が強く、思いやりがある子
・生活環境は⇒ 母、姉・義兄、姪・甥と同居。
          生活費として月11-12万円を家計に入れてくれた。
・借金はあったか⇒ 車のローン位か?
・彼女はいたか⇒ いなかったと思う
・嗜好品(酒・タバコ)は⇒ 缶ビール1本程度、タバコ/亡くなる頃はどちらも量は減っていた。
・いつ頃から異常を感じていたか
  ⇒ 17年11月頃、家族とほとんど口を聞かなくなった。約1ヵ月後に元に戻った感じはしたが・・・。18年2月頃、トイレに行くのに廊下で壁に肩をぶつけながら歩いていた。無言で後ろにボーッと立っていたこともあった。「休みなさい」と声を掛けても「俺、休めないんだよ」と返事。異常なほど疲れていた様子。
・精神的な悩みは
  ⇒ 「俺だけなんだよ、俺だけ言われるんだよ」「お母さんには言ってもわからないから・・・」
・18年3月に発熱をおして出勤したとあるが
  ⇒ 帰宅後に、病院に連れて行った。(翌日?は)「休みなさい」と言って休ませた。(優子さんが)会社に「休む」と電話したら、会社の担当者は「本人を出して欲しい」と言う。「(電話に)出れる状態ではない」と応えると「後で本人から電話を入れるように」と言われた。
・会社側は「(特段の)異常を感じなかった」といっているが.
  ⇒ 信じられない。貴志の兄が「1月に会った時には、死ぬような風ではなかった。おかしい、(何かがあったのでは)」と言い出して、会社側(羽田タートル)からタイムカードをもらって「働かされすぎ」だと思った。
◎最後にお話ししておきたいことがあったら
  息子は真面目な子だった。ぼろぼろになるまで働かされた。息子は機械ではない。交換の利く部品でもない。会社側にもっと配慮があれば、温かみのある対応をとってもらっていれば・・・と思う。

2)被告側代理人による尋問
①佐川急便代理人弁護士A
・先ほど「体がぼろぼろになるまで働かされた」と話されたが、「ぼろぼろ」にとは具体的にはどういう状態を指していっているのか?
  ⇒ トイレに行くのに廊下で壁に肩をぶつけながらフラフラ歩いていたような状態。
・(会社側から提出された)タイムカードの読み方を間違ったのではないか? ⇒ ????
・貴志さんは帰宅後「何時ごろ」寝ていたのか? ⇒ (わからない。)そんなに見ていない。
・18時ごろ起こすパターンは勤務当初(12・13年頃)より変わらなかったか?
  ⇒ 最初の頃は自分で起きてきていた。
・仕事の時間が長いと「こぼす」ことはあったか? ⇒ あった。
・それはいつごろのことか? ⇒ わからない(覚えていない)。
・仕事の中身は聞いていたか? ⇒ チケットとか絵画とかを扱っていたとは聞いていた。
・それ以外には? ⇒ 覚えていない.
・17年11月ごろ、近所で新築工事があり、うるさくて眠れないとの「証言」があったが、貴志さん本人が言い出したのはいつごろか?⇒ 覚えていない.
・18年に入って、甥っ子に「あたり」始めたのはいつごろか? ⇒ 2月頃。
・「よく眠れない」と言っていたようだが「理由」を言っていたか? ⇒ 「寝付けない」と言っていた。
・いつごろの事か? ⇒ 18年に入ってから
・貴志さんに借金はあったか? ⇒ 車のローンはあったが払い終わっていたと思う。
・同居家族は? ⇒ 母、姉・義兄、姪・甥と同居。15年から同居。
・休みたいけど休めないと言い出した時期は? ⇒ 18年3月に入ってから
・トイレに行くのに体をぶつけていたのを見たのは? ⇒ 18年2月頃から、3・4回は見た。
・時間帯は? ⇒ 朝、帰ってきてから。一度寝た後?にも・・・。
・貴志さんの働かされ方を理解したのはタイムカードを見せられた後ということか? ⇒ そうだ。
・仕事上の愚痴とは? ⇒ 「俺だけなんだよ、俺だけ言われるんだよ」
・その意味をどう理解したか? ⇒ わからない。
・受診先の「小田原クリニック」での診断は? ⇒ 「疲れてますね!」といって点滴をされた。
・5回ほど通院されたようだが、「病名」を聞いていたか?
  ⇒ 「十二指腸潰瘍」とか言われて、薬を処方された。それ以外の病名は聞いてない。
・受診を「中断」されたのはどうしてか? ⇒ ????
※北見・杉山両弁護士から「信じられない質問だ! その後に自殺されたから通えなくなったのであって、中断とはどういう事か?」と抗議。

②羽田タートル代理人弁護士B
・優子さんの出勤日は? ⇒ 週1回休みのローテーション勤務。3:30~5:00で帰宅は5:30頃。
・貴志さんの給料額「28万円位」というのはどこで知ったか? ⇒ 死亡後に給与明細書を見た時。
・家族と口を聞かなくなった時期を記憶されているのは何か(特別な事が)あったのか?
  ⇒ クリスマスの前の時期として覚えていた。
・その時期に通院をすすめたりしなかったのか? ⇒ 口数の少ない子だったので・・・。
・18年2月頃、「疲れた、疲れた」と言っていたのはどういう時か? ⇒ 帰宅後、食事の時とか・・・。
・「夢遊病者のような・・・」というのはどういう事か?そのような状態は何日位あったか?
  ⇒ 右に左にユラユラ・・・。
※裁判長より「質問は具体的な聞き方をするように!」注意あり。速記官からも「もっとゆっくりと、語尾もはっきりと質問して下さい」との指摘。
・貴志さんを「うつ病」と思ったか? ⇒ 医師でないのでわからない。その時は思わなかった。
・亡くなる3/26当日、(自宅に一人)置いていっても大丈夫だと思ったのか?
⇒ 気にはなったし、声も掛けたが「いいからお母さん楽しんできて!」と言われたので・・・。
・住宅ローンは? ⇒ 無かった。
・自宅の購入資金はどうされたのか? ⇒ 前の家を売った資金を宛てた。
※杉山弁護士から「本件と関係のない質問である」と抗議。A弁護士は「生活環境の把握の為に貴志さんの借金の有無を確認したい」と発言。

③羽田タートル代理人弁護士C(柴田)
・貴志さんは「パチンコ」が趣味だったようだが、それで帰りが遅くなるような事はあったか?
  ⇒ 本人が休みの日の前日以外は無かったと記憶している。
・(生活費として渡していた)10~12万円以外は本人の自由に使えていたか?
  ⇒ 自由だったと思う。
・車のローンが終わったと言うのは実際に聞いたのか? ⇒ わからない(記憶が定かでない)。
・貴志さんは、会社で家のローンが大変だともらしていたというが? ⇒ ????
・17年11月頃の近所の新築工事はいつ頃から始まっていたのか? ⇒ ????
・17年夏頃に貴志さんの弟さんの事故で貴志さんが200万円のお金を工面していたと会社で話していたようだが?また、17年11月頃に(仙台に)帰ってきていたようだが⇒ 良く分からない。
・貴方と弟とは連絡を取り合ったりしていなかったのか? ⇒ あまり・・・。男の子だし・・・。
・18年2月頃、貴志さんが「疲れた」「疲れている」という事を「何で実感」していたか?
  ⇒ 口に出して言っていた。
・貴志さんは自宅内に自分の部屋があったか? ⇒ あった。
・掃除等で貴志さんの部屋に入った時に「自殺マニュアル」本やロープに気づいた事はなかったか?
  ⇒ ない!
・会社の飲み会などに行った時の感想を聞いていたか? ⇒ 覚えてない。

④佐川急便代理人弁護士A
※ 「再度、私の方から・・・」といって発言。これまで提出されている証拠・陳述書と原告(優子さん)の証言の矛盾・不一致を指摘するような発言。

3)原告側代理人による尋問(北見弁護士)
・貴方も息子さんを四六時中見ていたわけではないので、この間の陳述書面は断片的な記憶をそのつど書面にしたということですね? ⇒ はい。
・出勤記録表は羽田タートルから提出されたもので、貴方たちが作成したものではないですね?
  ⇒ はい。

以 上

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