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□ 労働相談  センターだより


第12号(2011・07・19) ※PDF版はこちら

7月の「労働相談事例検討会」が7日に開かれました。

はじめに、6月の相談の概況を各相談員から出し合いました。相原相談員や鎌内県労連事務局長からは、震災に伴う「解雇」や「休業」「自宅待機」期間の賃金未払い等の相談が引き続き寄せられている事が報告されました。

富樫相談員からは、A市社会福祉協議会職員Bさんが突然死したことは「震災関連の“過労死”」ではないかと遺族が相談に来たこと。「震災当日から避難所となり不眠不休の対応をしたこと」「避難所の役割を終了した後はボランティア参加者の集約や仕事の指示に忙殺されたこと」を考えれば、十分に労災申請が出来る状況にあることを説明し、今後いの健として労災申請・認定まで援助することを話し励ましたと報告がありました。

また、富樫相談員が担当しているO事案(時間外労働の未払問題、パワハラによる労災申請)の中で、未払問題がほぼ要求通りの内容で解決に向かっていること、相原・芳賀相談員が参加した6月27~28日の「大震災活動相談研修会」(盛岡)の報告がありました。

労働相談事例の検討

「事例検討」ではいの健事務局長の芳賀相談員から
A/「これまで6時から19時まで13時間拘束で、2時間の休憩と3時間のフリーという形態で働いていた給食調理業務の労働者Cさんが、突然午前午後各4時間に勤務時間が分断された。Cさんは自宅と職場が近いためあまり疑問も持たずにこれを受け入れた」「しかし何となくおかしいのではないかと疑問になった」と相談電話があったことを紹介。
どういう助言をすべきだったのかと問題提起がありました。

Q/基本的にはいかなる職種・業態であっても、
「就職の段階で《労働条件を明示させる》ことが大切であり、文書による雇用契約、就業規則の説明」を求めて、勤務形態、労働時間、賃金、休暇、社会保険加入の有無などを明確にすることが原則だが、これを無視している企業が多すぎる。
また、Cさんの事例のように「突然の労働条件の変更」や「震災便乗の解雇、労働条件の切り下げ」も後を絶たないだけに、監督署を通しての企業指導の徹底を求めると共に、自らの人権を守るためにも県労連や労働相談センター、いの健など、それぞれの立場から意識的な「労働者教育」を進めることの重要性を確認しました。

「大震災生活・雇用なんでも相談活動研修会」報告

全労連・マスコミ共闘・純中立労組懇談会で構成する「大震災労働者対策本部」と全労連東北ブロックが主催した上記研修会が6月27 ~28日に盛岡市で開かれました。

3.11大震災と福島原発事故の深刻な被害のもとで、解雇、事業所閉鎖、休業、自宅待機、賃金未払い等労働関連相談だけでなく、津波による家屋流出などで生活基盤を失い今後の生活の見通しが立たないなど深刻な生活相談が寄せられています。

そうしたなかで、震災特例などこの間、行政通達等が次々に出されており、それらを学び、活用し、相談活動に生かしていくことが必要であることから「研修会」が開かれました。

研修会では、最初に小和田義和全労連事務局長が、大震災と原発被害の状況と、これから復旧・復興にむけての、財界の攻撃と新自由主義路線の新たな展開が始まっていることを指摘しました。これに対し、憲法を柱とし、人間復興、生活再建を中心に安定した良質な雇用と社会保障充実を軸にした地域再生をめざして運動することを提起しました。

次に、井上久全労連事務局次長が、災害救助法とこの間出されている行政通達の解説と活用法を話しました。出されている通達はそれなりの前進面があるが、今回の規模の震災から見れば、雇用保険の受給対象とか、住宅再建や、宅地被害の補償など、まだまだ不十分だ。補償を拡充することを求めていくことが必要だとの指摘がありました。

全労働岩手支部からは震災関連の労働関係の特例措置の解説、濱田真一郎弁護士からは震災に係わる法律上の留意点が話されました。

「復興後の日本と地域の経済復興はどうあるべきか」と題して講演した藤田実桜美林大学教授は、最初に「復興はローカリザーションの考え方が基本になるべきである」と指摘しました。具体的には、地域経済を支える農業や水産業、水産加工業など地域密着支援型・持続可能な産業を起こすこと、分散型エネルギーなどで低炭素型経済システムをつくること、そのためにも安定した雇用とゆとりある労働時間にしてゆくことが大切だと、講演を結びました。

今回の研修会は、制度等学ぶことが出来て有意義だった。ただ、具体的にどんな相談が寄せられどう解決したのか、事例が示されなかった。そうした事例があれば、もう少し深まった研修会になったと思う。(相原研一記)

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