HOME> ニュース> センターだより> 第10号>

□ 労働相談  センターだより


第10号(2010・09・06) ※PDF版はこちら

異常な猛暑続き、亡くなった多くは弱者!

今年は史上最も暑い夏になりました。
仙台でもどこでも猛暑日も熱帯夜も観測史上最高と言いますから、多分人類が過去に経験したこともないような、最も異常な夏になったのだろう。

地球温暖化が、ここまで地球を危機に追い込んでいるということだ。
気象庁も113年で最高の歴史的酷暑と発表しましたが、その中で8月末までに4万6千人余が熱中症で搬送され475人の方が死亡したという。

多くは高齢者であり、一人暮らしだったり、経済的にエアコンを付けることもできない弱者だったという。
まさに政治の貧困がもたらした災厄ではないだろうか。

第10 回事例相談会(9月1日実施)の報告

Q 相談事例/長時間労働、時間外手当未払い、
パワハラなど極めて悪どい会社の仕打ちにどう対応したらいいか

●バーガーショップの店長だがものすごい激務、長時間労働
塩釜のサツマ揚げの製造工場がバーガーショップを立ち上げることになり、自分が昨年7月に社長にスカウトされて店舗立ち上げの一切を任された。初めの2ヶ月はまさに不眠不休という感じで、当初の約束にはなかった商品開発も含め、顧客の開拓、従業員の採用、経営マニュアルの作成など、まさに休日返上、休憩も殆ど取れなかったが、店を任せてもらえるという思いで夢中になって働いた。

●一度休んだら対応ががらり変化
その結果、無事出店したが、無理がたたって12月に肺炎にかかり、20日ほど休まざるを得なくなった。そしたら、11月までもらっていた時間外手当をもらえなくなった。11月までも時間外勤務は160時間ぐらいしていたが、実際にはごく一部分しかもらっていなかったので、就業規則の公開を求めたら、私の店にはよこしたが本社の従業員(約100人)には全く見せていないことが判明。

●従業員も腹を立てている状況
給料は決まった日に振り込まれず、従業員も困っていたし、自分の時間外手当問題もあるので改善要求をしたが、全く回答無し。しかも、会社の総務を送り込んでよこし、従業員にあること無いこと店長の誹謗中傷を始めた。「従業員は、店長がクビになるのなら我々も一斉に辞める」と言うほど。

●長時間労働、店舗への不当介入、自分へのパワハラ・差別でメンタル不全に
経営コンサルタントが付いているので、いろいろ苦情を申し入れたが全く会社の言いなりで、店長である自分の意見には耳も貸さない。残業代のことを聞くと、総務もコンサルタントも口をそろえて「管理監督者だから支払われない」「店長手当に見なし残業代も含まれている」という。「見なし残業とは何か」と聞くと答えられない。現在では「店長の勤務は4日でいい」と言ったり、追い出しにかかっているようだ。
どう対応すればいいのだろうか。

A 店長の労働者性を主張して闘うことが入り口
出口は「すき家の事例」にならってみんなで組合を作ること

○「名ばかり店長」は労働者である!ことを主張すること
その上で、まず長時間労働の違法状態、「過労死ライン」をはるかに超えている“危険状態”をあいまいにさせないこと。労働契約(店舗立ち上げ準備)の内容を超えていることも指摘できる。

○会社の対応は違法!
総務やコンサルタントの介入や対応(パワハラ)はきわめて違法性が高い。就業規則違反、労基法違反で訴えることもできるし、労基署に「指導」を求めることもできる。
そもそも「見なし残業(見なし労働時間制)」などということは、企業の勝手な論理であって違法なもの。裁量労働制が取られている場合や労働時間を特定できない営業職にはあり得ても(それも基本的には違法)、タイムカードを導入しておいて「見なし残業」などということは許されない。
店長=「管理監督者」でないことは明白であり時間外手当も完全に請求できる。

○労災申請も可
労働過重による病気(肺炎)は本来「労災」で対応されるべきもの。今からでも申請できる。「メンタル不全」については通院し、診断書をもらっているのだから、それを基に勤務の緩和と労災申請を求めるべきである。

○基本的な解決方法
店長としてであれ、個人としてであれ、長時間労働の是正や時間外勤務手当の支給、給料遅配の改善を求めるのは当然の権利である。にもかかわらず会社がまともに対応しないのであれば、
①労基署に訴える方法(あまり効果は期待できない)
②労働審判に訴える方法(金銭和解で終わる可能性大)
③労働組合に加入し、正当な要求の実現と、自らの身分も守る観点で闘う方法
があることを助言し、できるなら組合に入って(あるいは結成して)闘うことを勧める。

現在の到達点(結論)

8月21日(土)に宮城一般に行き、組合加入。
宮城一般から会社に改善要求をし、会社側からは「話し合いに応ずる」旨の回答。
9月13日に塩釜地方労連と団体交渉することが決定。

事例検討会の中で、ある保育園での管理職者による幼児への虐待問題を県に訴えたら、その保育士が“名誉毀損”で園から訴えられたり、別の保育士も理由もあいまいなまま賃金が50%もカットされるような事件が起きていることが紹介された。
それぞれから園の体質に問題があること、訴訟は受けて立つ方が事実を明らかにできることなど話されたが、当該の保育士さんたちも、今後の対応について弁護士と相談中とのこと。
このような“違法・無法”がまかり通るような職場は改善させなければなりませんが、そのためにもやはり組合を作ること、組合を大きく強くすることを常に大事にする必要がありますね。

inserted by FC2 system