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□ 労働相談  センターだより


第5号(2009・12・14) ※PDF版はこちら

全国一斉労働相談、史上最多の949件 -全労連-

11月30日と12月1日、全国一斉に行われた「労働相談ホットライン」は昨年の1.4倍の949件(1日目520件、2日目429件)という結果が報告されました。
宮城は昨年の69件を大幅に下回る39件(1日目20件、2日目19件)だったものの、全国では8番目に多い相談件数でした。
全国の相談内容は、解雇17%、未払い18%が突出していますが昨年より減少している反面、いじめ・パワハラ・セクハラ問題や労働条件の切り下げなどが倍加していますが、宮城では未払い12件、解雇7件、退職強要4件などが目立っています。

相談事例/試用期間中、試用期間明けの解雇はやむを得ないの?
今回の事例検討は、最近特に増えている「試用期間中や、期間明けの解雇問題」です。
「“○ヶ月の試用期間とする”という辞令をもらったのに、途中で解雇と言われた」とか、「試用期間が終わったら、“明日から来なくてもいい”と言われた」「3ヶ月の試用期間が終わったら、“もう3ヶ月延長する”と言われた」などの相談例があります。
解雇理由の多くは「試用期間中の仕事ぶりに問題」「適任でないと判断」などというものであり、試用期間の延長については「まだ未熟だから」という理由です。
どの相談者も「納得できずに相談した」とのことですが、「あくまでも試しの期間だから、解雇されても仕方がない」のかどうか、どう援助すべきかを話し合いました。

試用期間中であっても、客観的合理的理由がなければ解雇は不当!
最高裁判例(昭48.12.12 三菱樹脂事件)では、「解約権留保付」ではあるが試用期間はすでに本契約に含まれるという立場を取っています。
決して「条件付予約期間」ではないのです。
試用期間が採用した労働者の能力・適正を評価する期間であり、そのために通常の解雇よりは条件が緩やかという側面は否定されていませんが、試用期間でも「本採用である」というのが基本的立場なので、以下の3つのポイントを満たす必要があるというのが判例の趣旨です。

1) 試用期間中でも、労働者を解雇するには、解雇に値する客観的・合理的な理由が必要であること。
2) 試用期間中の解雇は、通常の解雇よりも広い範囲で自由が認められているものの、「社会通念上相当として是認され得る場合にのみ許されるもの」であって、全く自由ということではないこと。
3) 労働者を解雇する場合には解雇予告制度の適用がありますが、「14日を超えて雇用されている場合には、試用期間中の労働者についても適用される」こと。(労働基準法第20条、21条)

悪質な事例ですが、「試用期間を6ヶ月とする」という就業規則のもとに、6ヶ月経過すると解雇し、新たな労働者を雇用してはそれを繰り返す。
要するに「正式採用になりたくて、時間外でも文句も言わずに働く」のをいいことに、若い労働者を6ヶ月ごとに使い捨てしていたという例もあります。
労働者の無権利を許さないためにも、きちんと知らせていくことが重要だということを確認し合いました。

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